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取材レポ―ト【COPLI特別セミナー】「IoT・AI時代のビジネス潮流にどう対応すべきか? ~神戸内外の先進企業に学ぶ」

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COPLI交流・視察委員会では、このたび関西経済同友会、中堅企業委員会との共催で、

神戸市内の先進企業から4名の講師をお招きし、特別セミナーを開催しました。  
IoTやAIをはじめとした最新技術や、それらを活用した新しいビジネスの潮流に対し、我々はどのように対応していけばいいのでしょうか。

また、具体的な導入の道筋はどのようなものになるのでしょうか。


神戸デジタル・ラボの舟橋健雄氏、MOMOの大津真人氏、みなと観光バスの松本浩之氏、そしてSTORIA法律事務所の柿沼太一氏からお話を伺いました。

 

 

日時: 2017年10月4日(水)14:00~17:10 
会場: 神戸デジタル・ラボ10Fセミナールーム

 

① 「IoTやAIをどうビジネスに活用するか~KDLの取り組みから」

 講師:舟橋 健雄 氏(神戸デジタル・ラボ 広報室長)

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「IoTやAIをどうビジネスに活用するか~KDLの取り組みから」


 最近、さまざまな場所で聞かれるようになった「IoT」と「AI」という言葉。このふたつの最新技術と、我々はどう向き合っていけばいいのでしょうか。今日はそれを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。そして、この講演がなにかひとつでも未来へのヒントになれば幸いです。

 

 KDLはウェブ系のシステム開発企業で、阪神・淡路大震災が起きた1995年の10月に創業し、今年で創立22年になりました。
 収益モデルとしても顧客価値としてもシステム開発ビジネスだけではなかなか明るい未来が描きにくくなってきた昨今、独自のサービスを数多く生み出し、新たなビジネス可能性を模索しています。中でも情報セキュリティサービスについては西日本でも随一の立ち位置を築いており、最近では兵庫県警のサイバー犯罪対策課とタイアップし、情報セキュリティに関しての情報交換・技術交流を進めるなどしています。
 本日は、弊社が目下取り組んでいる独自サービスの中からIoTやAIに関するものをご紹介したいと思います。

 

 マッキンゼーは2013年、「2015年~2030年に世界を変える12の破壊的な技術」についてのレポートを発表しました。その破壊的技術の中のトップ2とトップ3が、「IoT」と、「AI」でした。そして2017年の今日、実際そのレポート通りの形になりつつあると感じています。
 では、そもそも「IoT」そして「AI」とはなんなのでしょうか。
 「IoT」はInternet of Thingsの略。「モノのインターネット」という意味です。ウィキペディアから引用しますが「様々なモノがインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組み」のことをいいます。また、それによって実現する社会自体もIoTといってよいでしょう。

 

 インターネットは軍事利用から始まりました。そのあとパソコンが普及してインターネットを媒介に世界中でいろいろな情報が見られるようになりました。そして、今はパソコンだけでなく、さまざまな機械や家電、消費財あるいはスマートフォンがインターネットで繋がっています。IoTはそんな今日のビジネス環境を表す言葉ともいえるでしょう。
 その環境でなにをするのか、今それが問われています。さまざまな物が繋がり、お互いに情報をやり取りしているなかで、企業や個人がどう動くかが重要です。

 

 IoTはセンサー、クラウド、アプリケーション、この3つのレイヤーから成り立っています。そしてセンサーで検知されたデータがその間を行き来しています。IoT関連ビジネスとは、この3+1のいずれかのレイヤーに大別することが可能です。KDLではこの4つのなかの「クラウド」レイヤーに特化して事業を展開しています。
 そしてAIとは、Artificial Intelligence。つまり人工知能です。人工知能もインターネットへの接続により実現した技術という意味では、AIもIoTの一部ともいえます。
 これもウィキペディアから引用しますが、AIとは「人工的にコンピューター上などで人間と同様の知能を実現させようという試み、あるいはそのための一連の基礎技術を指し」ます。
 言うなればAIとは「人間のノウハウをコンピューターへ移行するテクノロジー」と考えてよいでしょう。碁等でプロをAIが打ち負かす現象が起きていますが、さまざまなノウハウをコンピューターに代替させればより効率がよくなります。

 

 弊社はソフトウェアを専門にしている会社です。自分たちで一からセンサーやハードウェアを作ることはできません。ただ、今はセンサーの部品が廉価で市場に出回っており、そういう汎用品を組み合わせてハードウェアのプロトタイプを作ることができるようになりました。また、そのハードウェアも、以前はメーカー企業しか制御できなかったのですが、今や我々のようなソフトウェア開発者でも制御できる時代が来ています。
 

 KDLでは去年の4月からIoT専門部署を作り、IoTビジネスに本格的に取り組みはじめました。ソフトウェア開発企業でも、ハードウェアと関係を持ちながらできることがあるという思いがきっかけでした。また、これらのIoT機器にはセキュリティ上の問題点が未解決のまま存在しているので、弊社セキュリティ事業部のホワイトハッカーたちがこれらの問題点を見つけ、データの盗用や漏洩を防止し、よりセキュアな環境で通信できるよう協力させてもらっています。

 IoTビジネスの具体的な取り組みとしては、まず、弊社のトイレから実験をはじめました。トイレにドアの開閉を検知するセンサーをつけて手元のアプリでどの個室が空室かリアルタイムに分かる仕組みを作ったのです。これが意外とおもしろいと好評で、日経新聞などにも大きく取り上げていただきました。
 また、ユネスコデザイン都市事業の神戸市代表として、この開閉検知の仕組みのもととなる「Cloud Switch API」をフランスに出展いただきました。
 それから実用化はまだ先ですが、旭化成エレクトロニクスと共同で「IoT見守りソリューション」のクラウド部分も開発協力させてもらっています。これはドアの開閉を一元的に管理し、スマホでも見られるような仕組みです。すべてのドア、また机の上にあるべきものがあるかないかなど、オンオフで検知できるものであれば何にでも応用できます。

 

 IoT分野におけるKDLのモットーは、①クラウドに特化しつつ、②データの取り扱いはセキュアに行い、③「ラピッド・プロトタイピング」つまり「思いついたらすぐ形に」することです。このラピッド・プロトタイピングの事例もご紹介しましょう。

 

 アフリカの国ルワンダは今、ITで国を立て直そうとしています。神戸市はルワンダと提携しており、その経済ミッションに弊社も昨年参加しました。そこでいろいろな発見がありました。
 ルワンダはとても雷の多い国で、毎年たくさんの人が雷で命を落とします。それをなんとか防げないかということで、帰国後、雷観測リストバンドを作りました。基盤むき出しのプロトタイプではありますが、各方面から好評をいただき、今年設計図を公開し、オープンソース化しました。
 まだ商品化には至っていませんが、12キロ先の雷まで検知できるということで、日本でもゴルフのときなどに活用できるのではないかと思います。

 

 それ以外のIoTビジネスの事例をご紹介しましょう。
 スマホのナビは歩きながらだと使いづらいため、スマートグラス用の翻訳アプリをリリースしました。日本語で喋ると他の国の言葉に翻訳してくれるサービスです。これは先日「ちちんぷいぷい」でも紹介されました。
 それからエイプリルフール限定企画として、ウェブサイト上で「社長ダッシュボタン」を公開しました。これは「アマゾンダッシュボタン」にヒントを受けたもので、お客様にこのボタンを配布し、それが押されると社長室のパトランプが鳴って、社長がダッシュで駆けつけるというものです。
 ちょっとした冗談でしたが、これはひじょうにウケました。たとえば飲食店にタブレットを置き、対応がまずい場合にボタンを押すと、奥にいる店長が出てくるなど、いろいろ応用がきくからです。データが蓄積されれば飲食店等のサービス向上に役立てるのではないでしょうか。ということで、7月に実店舗での実証実験をはじめました。

 

 AIの分野においては、独自の先端技術を磨きつつ、AIベンチャー等と協業し、眼の前のビジネスを作っていくというのがモットーです。具体的には、京都大学の新熊亮一准教授と共に、「関係性技術」を開発しています。
 「関係性技術」とはモノとモノ、人と人、人とモノ等の潜在的なつながりを定量化して、未来の価値を予測する技術です。ビッグデータという言葉がよく聞かれるようになりましたが、関係性技術では、それほどビッグでないデータからでも未来予測が出来る点が特徴です。この技術を用いて観光マーケティング分析等、さまざまなトライアルを現在進めています。
 関係性技術を使った観光マーケティング分析は、長野県白馬村にて実証実験を行いました。独自開発の人物移動予測エンジンを用い、観光シーズンの2カ月間に訪問客のスマートフォンアプリやSNSの投稿から位置情報を得て動向を分析、考察したのです。たとえばtwitterの位置情報付き投稿に限定して集めれば、どこでどんな人が動いているかがわかります。そして、そういうものを収集していくと、未来が予想できるのです。お客様からは「今までわからなかった観光客の動態が可視化できた」と好評でした。

 

 さて、昨日から千葉の幕張でCEATECが始まりました。これまでは家電の発表のような場所だったCEATECですが、今年はIoTの方へ舵を切ってきています。
 弊社も先述した観光マーケティング分析で出展をしました。また、旭化成エレクトロニクスのブースで「Cloud Switch API」、神戸市のIoT推進ラボのブースで雷観測リストバンド等、計4ヶ所でブースを出展しています。そこでしているのはほぼIoTとAIの話しです。
 もうひとつはユーザーが質問すると、膨大な衣服データを学習した人工知能が、好み合ったファッションを勧めてくれる「Fashion Recommend Bot」
 これは対話システム分野での最先端技術を提供するAIベンチャー「Nextremer」との協業で開発しました。AI×ChatBot活用による新しい顧客体験の提供です。 Nextremerは東京都板橋区、高知、インドに拠点がある会社で、ラインやチャットの会話をAIに対応させる技術を作り、実際に高知銀行等でも使われています。

 

 こうしたさまざまな事例は、「とにかくやってみる」という姿勢の中で生まれたものばかりです。やってみる中で思いもしなかったような発見があり、面白い展開が生まれます。アイデアを形にするための技術と考えれば、IoTもAIもそんなに難しいもの、縁遠いものではないはずです。皆さんもぜひこれらの技術をビジネスに活用するためのアイデアを考えてみていただければと思います。

舟橋健雄

 

 

 

② 「神戸のハードウェアスタートアップが目指すIoTの未来」
 講師:大津 真人 氏(株式会社MOMO 代表取締役)

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「神戸のハードウェアスタートアップが目指すIoTの未来」

 弊社Momoはハードとソフト、両面を開発する会社ですが、ハードウェアのベンチャーは神戸に一社しかありません。また、大阪を含めても数社だけです。
 IoT・AIの時代といわれながら、ハードウェアのベンチャーがなぜほとんどないのか、今日は主にその話をさせていただきます。

 

 大学院時代、わたしは認知心理学、認知科学を専攻していました。脳はどんなふうに動いているのか、画像を認識して行動する、記憶するとはどういうことなのか等の研究です。10年くらい前の話しですが、当時はAIがそれほど流行っていませんでした。
 大学院を辞めてからは、自営業をしたり、個人でアプリを開発したり、システムエンジニアとして大手企業のアプリケーションやシステム開発に携わっていました。
 なぜAIそして認知科学から足を洗ったのかというと、小さな力で大きなものを動かしたい場合、AIでは困難ですし、お金にするのもひじょうに難しい分野だったからです。

 

 2010年頃、個人でアプリを開発し、それが40万ダウンロードされ、ヒットを飛ばした経験から、AIの研究をするよりもアプリを作ってプラットホームに乗せる方が効率的だと学びました。そして、2016年3月にMomoを立ち上げ、ハードウェアの開発をはじめたのです。ソフトウェアはレッドオーシャンで、アプリケーションは無数にあり、なにか出してもそれだけでは世の中は動かせません。そのため、ハードウェアとソフトウェアを連携させる方向へ進もうと考えました。
 今日はそんな中で見た、ハードウェアベンチャーの実情をお話しします。

 

 2016年6月、神戸市によるベンチャー支援プログラムであるKOBE GLOBAL STARTUP GATEWAY第2期に採択され、その中で株式会社Momoは法人化する運びとなりました。そして、10月には兵庫県クリエイティブ企業コンテスト第1期、大阪市シードアクセラレーションプログラム第2期にも採択されました。 神戸市や大阪市はベンチャー支援の取り組みをしており、弊社はその中でご指導いただいたこともあって、いわゆるベンチャー式経営を行っています。資金調達も、エンジェル投資や資本制ローンやVCによる投資で、設立から今までで、合計9700万円ほど調達しました。

 

 普通のITベンチャーを立ち上げるときは、3~4人ではじめて1000万~2000万円ほど調達できれば、アプリケーションやソフトウェアなら最低限のものが作れます。多少はお金も入ってくるし、その有効性を検証できることが多いです。しかし、ハードウェアだと1年くらいかけても完成に至らないこともあります。回路の設計や基板レイアウトをして、書き込むソフトウェアを作り、クラウドと繋ぎ、アプリケーションを完成させるには、とても時間がかかるのです。

 

 弊社が開発したスマホ使用時のコントロール機能OTOMOSは、子どものスマートフォンを親が柔軟に制御できるシステムです。使用時間制限や歩きスマホの防止、事故時の自動通知機能を備えています。運転者向けのソリューションで、運転中スマホを使えないようにするシステムも開発が終わりました。
 部品は中国の深圳で調達しています。日本の工場で頼むと1枚5000円のところ、深圳なら1000円ほどだったりするからです。
 しかし、実際に頼んでみると、上がってきた基板に違う部品が使われていたりするので、エンジニアを連れ、通訳を雇い、直接出向かなければなりません。郊外にある工場の近くで2~3泊し、このチップは図面と違う、ここに電源が通っていない、チップが動いてないなどなど、色々話して修正してもらう必要があります。
 今は試作用のキットが増えたので、試作の段階では市販の開発ボードを使い、ぎりぎり動くものは作れます。しかし、一日中動くもの、量産して人に売れるものを作るとなれば話が変わります。試作やデモ機を作ることは出来ても、そのまま売ることはできません。

 

 これまで世の中になかったためか日頃の行いが良かったためか(笑)、弊社のOTOMOSは新聞でも30~40紙に取り上げていただきました。また、損保やロジスティックス分野の大手企業からも好評を得て、量産前まで来ました。しかし、実際の供給にはまだ至っていません。
 お客様に欲しいといわれても、無線の認証などが必要で、量産はそのあとになり「2~3ヶ月待ってください」といわざるをえないからです。
 
 通常のITベンチャーは「ラピッド・プロトタイピング」「リーンスタートアップ」といった、カスタマー向けに試作をし、どういう機能なら使いたいか、お金を払うか等、市場性を探る手法を取ります。
 しかし、たとえば弊社のサービスの場合、むき出しの基板を一日中つけてもらうことは出来ません。ですから顧客がストレスなく使えるケースを作る必要があります。そうしなければ本当の調査ができないからです。そのためにはまず3Dモデリングが出来る人材を確保し、3Dプリンタで試作用のケースを作成する必要があります。しかし、そのあとの量産を考えると、射出成型と齟齬がないかも問題で、それを成功させるには設計会社と契約しなければなりません。そうして作った基板とケースは、小型化、薄型化するために試験を繰り返し、何度も設計しなおしていきます。
 量産向けのハードを作るのにいちばん大変なのがハードウェアで、最低限必要なもののハードルが高いのです。

 

 ここからはもう少し一般論になりますが、例えば、IoTは成長市場で、2017年現在、6兆円の規模があり、2021年にはそれが11兆円になるだろうと予想されています。この伸びは他の技術分野に比べて実はかなり緩やかです。世界を変える技術の1位がモバイル、次がIoT、次がAIといわれている中、IoTの年平均成長率は17%しかありません。

 

 IoTはこれからどんな成長の仕方をしていくのでしょうか。
 2020年、IoTの支出の80%はB2Bのアプリおよびユースケースに費やされ、基本的にはビジネス向けになるといわれています。家電やホワイトボード、ドアやロボットがIoT化されると捉えられていますが、実際は製造業や輸送業、運輸業、海運業、公共事業で問題を解決する裏方として動くものです。ガートナーの調査では、それが最も大きな市場になっています。
 2020年までに公共事業で管理される接続デバイスの総数は10億。今後IoTで伸びるのは、消費者の目や手に触れるものではない、ということがここから見えてきます。

 

 さて、事業費用の内訳を見てみると、最も大きいのはデバイスにかかる費用です。
 デバイスとソフトウェア開発で3分の1以上占めてしまうような現状では、初期コストが非常に嵩みます。

 

 IoTで「誰でもいろいろなことがわかる世界になる」。確かに言うのは簡単ですが、やるのは思った以上に難しいようです。

 

 たとえば先日お聞きしたKDLの雷観測リストバンドは、回路の設計がいらないウェイクアップボードや開発ボードを使って作られているそうです。市販化するには回路設計、基盤のレイアウトをし直さなければなりません。電流が大きいと磁界が生じるので、部品同士が干渉し合わないよう、チップの置き方も適切にしなくてはなりません。電池の管理を間違えば炎上しますし、そこはさすがに専門家でないとできません。
また、量産化したければ組み込みのプログラミング、射出成型の技術は必須です。アンテナの部分を自作するとコストは下がりますが、技適(無線の許認可)も必要でしょう。
 ちなみに金型は切削加工するので、日本でやると400~600万かかりますが、深圳なら100万で出来ます。しかし、金型をすべてスクラップ業者に売られたりといった話もよく聞きますし、工場の調査や選定も慎重にしなければなりません。
 わりと簡単なものを作ろうとしても、これだけの不確定性があり、スキルもコストも必要になります。企画が鋭くてもこうした開発が全部出来る人はほぼいませんから、ハードが関わってくるIoTのサービスの伸びが非常に緩やかなのだと思われます。

 

 よくいうIoTプラットホームとは、各種センサーデバイスからデータをクラウドに飛ばして集約し可視化するものです。その他にIoTの基板に入れるOSもありますが、こちらはandroidに近いものをイメージするといいでしょう。IBMもアマゾンもその他の会社も、IoTのプラットホームを出していますが、センサーからデータを飛ばすところはなかなかいいソリューションが出て来ていません。

 

 わたしたちが作ってきたのは、スマートフォンのケースに入った基板と連動するソフトウェアによるスマートフォンの制御ソリューション、OTOMOSでしたが、その基板を流用して作るIoT開発プラットフォームを12月にリリースすることになっています。
 ちょっとしたサービスを作る場合に、基板設計、筐体設計、基板・筐体量産、技適等が全て不要になるようなものをやろうとしています。

 

 15年前はウェブで情報を発信するときにはHTMLでコーディングしてホームページを作ったりしていました。でも今は各種ブログやフェイスブックがありますから、そんなことをしている一般の人はあまりいません。

 

 わたしたちが次にリリースするものもプログラミングが必要ないIoT開発プラットフォームで、IoTにおけるアメブロみたいなものを作りたいと考えています。

 

 たとえばこのプラットホームでは、街灯の電球が切れたとき、土木局へ連絡がいくというようなシステムを、ドラッグ&ドロップ(とセンサーの購入、設置)だけで作れます。  明るさのセンサーをドラッグし、閾値を設定し、ちらつきや照度がひじょうに低い状態が続けば通知されるシステムを簡単に作れる、というものです。

 

 これはたとえば公共、運輸、土木、建設、警備、介護、農業、色々な現場での問題解決に役に立つものと信じています。
大変な現場ほど切実なニーズに肉薄することができるので、可能性があります。
 実はすでに色々な現場を知る会社さんと複数の実証実験の準備を進めている最中です。

 

 IoTは”モノのインターネット”なわけですが、モノは分子、Atomから出来ています。
 今日お話ししたような試みは、その”Atom”を”bit”にする、そういう変化を起こすということではないでしょうか。

                                              大津 真人

 

 

 

③ 「IoTを活用した公共交通の変革(ユーザーオリエンテッド目線で)」
 講師:松本 浩之 氏(みなと観光バス株式会社 代表取締役)

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「IoTを活用した公共交通の変革(ユーザーオリエンテッド目線で)」

 

 平成3年、貸切バス事業者として創業したみなと観光バスは、平成14年に乗り合いバス事業へ参入しました。みなとバスに改名しなかったのは「みな飛ばす」とも読めてしまい、バス会社としてはちょっとどうかと思ったからです。
 現在ドライバーは110名、乗り合いバスと貸し切りバスが70台強、10系統で運行キロ数は197、本社と北区に営業所があります。貸し切りバスは主に結婚式場や病院の定期送迎をしています。
 実はみなと観光バスは公共交通で、世間的にいちばん有名なのは「住吉台くるくるバス」「森北どんぐりバス」「坂バス」「宝塚ランランバス」等、コミュニティバスを成功させたことです。

 

 公共交通事業者というと7割8割は赤字で、行政から交付金や支援金を貰っているというイメージでしょう。しかし、みなと観光バスは行政から一銭も運行補助費をいただいていません。例外は国と宝塚市から依頼された宝塚ランランバスだけです。

 

 1995年の阪神淡路大震災、そして98~99年の貸し切りバス事業の規制緩和の際に、経営はとても厳しくなりました。そこでなんとか新しい商売をしなければならないと考えました。
 コミュニティバスは住民の足を確保するための新しい運行支援です。ところが、コミュニティバスを運行して黒字になった地方自治体はありません。
 規制緩和後、地方自治体から補助金、助成金、交付金を貰わず、鉄道会社の子会社にもならずに複数系統を持っているのは日本で我が社だけです。

 

 昔は行政と公共交通は一体でした。しかし、それがだんだん乖離し、自助努力をしないと公共交通は成り立たなくなりました。したがって市民と企業、行政と公共交通が、新たな交通手段を構築しなければなりません。事業者目線の持続可能な街づくりと、住民主体の新たな移動手段、マイバス意識の醸成、コミュニティバスはそういう発想から生まれました。自分たちの足は自分たちで守る、そうすれば地域も活性化し、沿線の価値の向上にも繋がり、近くの企業にも利益が出るというわけです。

 

 わたしはもともと商社マンで事業予測、マーケティングを担当していました。本格運行までの取り組みでは、住民や行政事業者との合意形成、現行の交通行動の把握とニーズ調査に時間をかけ、その結果を見て、参入を決めたのです。こうすれば乗り合いバス事業は儲かるのではないかという仮設に基づき、実証運行もしました。
 しかし、住民の合意形成には時間がかかります。最初、森北どんぐりバスと住吉台くるくるバスは反対運動が起こりました。
 ちなみに神戸市からは「金は出さないが人は出す」といわれています。行政の役割は許認可関係の整理、既存事業者との利害調整、成功事例を作るための投資、永続的な支援体制です。地域コミュニティが醸成すれば行政負担の減少も期待できます?€[limit]

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